「メディカルシェフ入門」第49回 ユリネ

 

ユリネ( 百合根)はユリ科ユリ属の植物の麟茎( 球根)で、食用に適したユリ属の球根を指します。ユリ属には多くの種類があります( 園芸種や栽培種を含む)。食用に適している( 灰汁による強い苦味がないもの)ものは、コオニユリ、オニユリ、ヤマユリ、カノコユリが一般的です。中でも、主に北海道で栽培されているコオニユリ系の「白銀」といわれる品種が多く出回るようになりました( 北海道全体で全国生産量の95%を占める)。
 
ユリネの栽培は、種球を畑に植え付けるまでに3年、畑に植え付けてから収穫までにさらに3年の月日がかかるといわれます。連作ができないため毎年畑を替えなければならず、一度ユリネを植えた畑は最低でも7年間を空けなければなりません。
 
カボチャやサツマイモなどのように、収穫後2~3ヵ月間寝かせるとデンプンが糖分に変わって甘みが増して美味しくなるそうです。正月料理に使われることが多いので、12月になるとよく目にします。高価なイメージがありますが、1~2月になると値が下がり、お買い得になります。
 
ユリネはニンニクなどと同じ鱗茎で、鱗片が重なり合って球形になっています。店頭では丸のまま、おがくずと一緒に詰められて並んでいます。調理の際は、周りに付いているおがくずを洗い流し、外側から優しく剥がして用います。火の通りが早いので、再沸騰してから1~2分で様子を見るなどの注意が必要です。
 
ユリは北半球を中心に世界中に分布していますが、その球根を食用(根菜、生薬)にしているのは中国と日本だけだといわれています。日本では旬の食材として料理に、中国では乾燥したものを通年料理や生薬に使います。
 
日本でも、奈良時代前後に仏教とともに様々な生薬が伝来したため、薬用食材として利用されていたのではないかと考えられています( 万葉集、本草和名に記載)。江戸時代の書物に「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」とあります。今では美しい女性の容姿を表現する場合に用いられますが、本来は女性特有の不調とそれを改善する生薬を例えたものといわれています。ピリピリと気が立っている女性には芍薬を、すぐに疲れてへたってしまう女性には牡丹、ストレスや気疲れで頭重になった女性には百合根が良い、という意味です。
 
ただし、ユリ全体を観察すると、上昇性でスーッと伸びた先に大きく開く花をつけており、その球根は鱗茎といわれる通り拡散した1枚1枚でできていますから、根菜の中ではやや陰性の傾向を持つと考えられます。胃腸が冷えてよく下痢をする、全身が冷えているなどの場合にはお勧めできません。

 

 

小林 薫音満/こばやしかおみ(愛称カノン)
 
リマ・クッキングスクール師範科主任講師、及びメディカルシェフ育成講座講師。久司学院レベルIV、昭和薬科大学卒。現在、星薬科大学大学院在籍。「明るく楽しいマクロビオティック」がモットー。著書「マクロビオティック 至福のレシピ」など多数。
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