「メディカルシェフ入門」第50回 金針菜

 

キンシンサイ(金針菜)とはカンゾウの花の蕾を乾燥させたものの名称で、蕾が黄色で細く尖っていることに由来しています。カンゾウの仲間に様々な種類がありますが、原植物はホンカンゾウです。ホンカンゾウは日本に自生していないのであまり一般的ではない食用花ですが、原産地の東アジア( 中国)では東漢時代より前から栽培され、薬用や料理に用いられてきました。日本へは古代に野菜や作物などと一緒に中国から渡来しました。
 
日本では、本州以南の野原や藪に自生しているヤブカンゾウやノカンゾウをワスレグサと呼び、苦みが少なく食用に適しているのはこの2種類です。ヤブカンゾウは北海道から九州に分布
する平地や丘陵地によく見られる多年草で、ノカンゾウは本州、四国、九州に分布する原野や溝のそばに生える多年草です。
 
薬用として用いられる部分は、ヤブカンゾウが蕾と根、ノカンゾウが蕾、葉、根です。花期はいずれも7〜8月で昼間だけ咲く一日花です。花が咲くまではよく似ている上、薬効や成分も似ています。
 
鉄分やカロテン、ビタミンCなどが豊富で、薬効は利尿、むくみとり( 根)、解熱( 花)で、根はアスパラギン、リシン、アルギニンなどを含み、花はヒドロキシルグルタミン酸、コハク酸、β-シトステロールを含んでいます。「中薬大辞典」には、気持ちを安定させる、イライラを解消、入眠作用、造血作用、抗ストレス作用、余分な身体の熱をとるなどの効能があると記載されており、煎じて飲む以外に腫れものに生の葉を貼り付けるなどして使われてきました。
 
また、暑気あたりやストレスによって弱った胃腸の働きを改善したり、自律神経を調えて精神の安定や肝臓の余分な熱を収める効能がありますが、陰性度がやや強いため、冷えやすい人の体
質改善には適しません。その場合、キンシンサイを用いた料理は頻繁に摂らないようにしましょう。
 
生のキンシンサイは有毒ですが、市販されているものは蒸し干しして乾燥させているので安心していただけます( 乾燥したキンシンサイは中国からの輸入品がほとんどで「ユリの花」と称して売られていることが多いです)。
 
調理の下準備として、まずはサッと洗ってぬるま湯に浸けて戻します( 戻し汁には栄養や機能性の成分が溶け出しているので、捨てずにだし汁として加えます)。柔らかく戻した蕾の下部
( 顎)を指先で押し、硬い部分を取り除き、炒め物や汁物、煮物など、料理に合わせた切り方をして調理します。また、葉は束生する線形で、若芽を湯がいてお浸しにするとおいしいです。
 
婦人科系の症状を持つ場合には、乾物を積極的に用いたいものです。常備菜を作る際、材料を煮込み始めた時に戻したキンシンサイを加えて蓋をして煮込みます。味噌汁の中に加えても
よいでしょう。具材に合わせて切り方を変えてみましょう。

 

 

小林 薫音満/こばやしかおみ(愛称カノン)

リマ・クッキングスクール師範科主任講師、及びメディカルシェフ育成講座講師。久司学院レベルIV、昭和薬科大学卒。現在、星薬科大学大学院在籍。「明るく楽しいマクロビオティック」がモットー。著書「マクロビオティック 至福のレシピ」など多数。

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