「メディカルシェフ入門」第52回 フノリ


 
フノリは紅藻綱スギノリ目フノリ科フノリ属の海藻の総称です。主産地は中国・韓国・日本の沿岸で、中国では「鹿角菜(ろっかくさい)」と呼ばれ、古くから絹織物の糊料や食料に使われていました。
 
日本には、平安時代に養蚕・製糸・絹織物が伝えられ、同時に原材料としてフノリの利用法も伝えられました。古い資料には当時の宮廷への献上品とされていたと記されています。
 
また、中国の古い漢方の生薬植物図鑑「本草綱目」には「赤菜」と書かれ、胆石に効果があると記述されており、日本では江戸時代の貝原益軒の主著「大和本草」に「鹿角菜」「青角菜」などと記されています。
 
食用の他、粘りが強いことから寺院や神社などの障子の洗い張りや漆喰壁の材料に加えて壁の強度を増したり、絹織物、漆器、陶器( 九谷焼)作りに用いるための天然糊剤としても使われていましたが、接着力があまり強くなかったため、織物の仕上げの糊付けの用途が多かったようです。
 
シャンプーが出回る前は天然の洗髪剤( 煮溶かして使用)として用いられてきた歴史があり、化粧品を作る工程での付着剤としての用途もありました。また、力士の下がり( 廻しの下に着ける紐)を糊付けするために用いられることでも知られています。
 
日本各地に分布していますが、水質環境に影響されやすいため、良質な食用フノリは限られた場所で採取されています。岩礁の波打ち際で水質が良く、寒暖の差があるところを好みます。良く知られているのは長崎県五島列島近海や対馬で、熊本県天草やその他の九州太平洋沿岸部でも採取されています。
 
日本列島の南で採取されたフノリは驚くほど陰性で大きく、北へ行くにつれて陽性となり、針金状になるところが興味深い食材です。
 
フノリの主な種にはマフノリ、フクロノリ、ハナフノリ、コブノリなどがありますが食用にされるのはマフノリ、フクロノリなどです。また、フノリの中でも最も糊分が強いマフノリは採取量が少なく希少価値があり、絹織物に糊料としても使われています。フクロノリは織物用の糊料として多用される一方で、蕎麦のつなぎ( 新潟のへぎ蕎麦)や汁物の具、海藻サラダなど、食用としても用いられています。
 
フノリは機械では収穫ができないため、手摘みで行われます。水で洗ってから塩分を抜き、天日干乾燥させながら数回水をかける作業を繰り返してようやくフノリの完成です。
 
フノリにはネバネバ成分の元になるフノラン( 増粘多糖類:水溶性食物繊維)が高濃度に含まれることが分かってきました。血中コレステロールの低下作用、抗酸化作用( 老化抑制作用、抗がん作用)などが報告されている他、古くは胆石や胆のうポリープを除く効能があると記述されています。
 
フノリを用いて胆のうやポリープを除く効能を期待するには、1日に5〜10gを摂取するとよいでしょう。サッと洗って汁の中に入れればよいので、にいただくことができます。

 

 

小林 薫音満/こばやしかおみ(愛称カノン)
 
リマ・クッキングスクール師範科主任講師、及びメディカルシェフ育成講座講師。久司学院レベルIV、昭和薬科大学卒。現在、星薬科大学大学院在籍。「明るく楽しいマクロビオティック」がモットー。著書「マクロビオティック 至福のレシピ」など多数。
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