「メディカルシェフ入門」第59回 モズク

 

モズクはモズク科( またはナガマツモ科)に分類される糸状藻類あるいは褐藻類と呼ばれる海藻の総称で、コリコリとした食感、トロリとしたぬめりが特徴です。他の褐藻類に付着するところから「藻付く」という名がついたと言われています。主に熱帯から温帯の浅い海に分布し、日本沿岸では冬から春にかけて光が届く潮下帯の岩礁に生息しますが、夏には他の海藻類と同じように枯れてしまいます。
 
奄美大島から沖縄の南西諸島では「太モズク」、能登半島や山陰沿岸では「糸モズク( 細モズク)」と呼ばれる種類が多く採れます。いずれも見た目は細く、海中ではイソギンチャクのようにユラユラと生育し、茶色・黒褐色・緑色をしたものがあります( 色は産地によって異なるようです)。
 
また、糸モズクは太モズクの3分の1程度の太さですが、糸モズクが成長しても太モズクになるわけではありません。太モズクの学名はオキナワモズク、糸モズクの学名はモズクとまったく違う種類の海藻ですが、食品として市場に出回る際は総称して「モズク」と呼ばれています。
 
水揚げ量ランキングを見ると、沖縄県が圧倒的に多く、99・1%を占めています( その内約90%が養殖)。沖縄県では伝統的に食されている食材で、春先になると海辺でモズクを採る人々で賑わい、風物詩のひとつになっています。現地の方言でスヌイ、シヌイ、スルリと呼ばれ、料理法も酢の物ばかりではなく、雑炊や吸い物、てんぷらなどが各家庭で受け継がれています。
 
モズクは機能性成分としてフコイダンやアルギン酸を多く含み、沖縄県民の健康寿命を支えてきたといわれています。
 
太めで粘質物が多いオキナワフトモズクをマウスに与えた実験で、肝臓に良いことや体重の増加抑制効果があることが分かりました。これは、モズクに含まれるぬめり成分であるフコイダンやアルギン酸の働きと考えられています。フコイダンは血清コレステロール値を下げ、善玉コレステロール値を上げることから成人病予防効果の大きいことが推定されています(「南の島の栄養学( 尚弘子著 沖縄出版)」より)。
 
都市で生活していると、入手できるモズクはタレ付きや味付きのパック入りか塩漬けモズクに限られます。生のものはほとんど目にすることがありません。パックに添えられているタレや、味が付いた加工品には三杯酢に白砂糖がたっぷり含まれているのでお勧めできません。玄米酢と醬油、好みによってはりんごシロップなどの甘味やすりおろし生姜などを加えて手作りしましょう。
 
また、塩漬けモズクは長持ちし、使いたい時に塩抜きすればよいので便利です。塩がかなりきついので、3回ほどでジャブジャブ洗った後、30分以上浸水します。ほんのりと塩気が残る程度の方が、好みの味に作りやすいでしょう。ちょうど良いと感じる程度だと料理が塩辛く仕上がる傾向があるので気をつけましょう。

  

 

小林 薫音満/こばやしかおみ(愛称カノン)
 
リマ・クッキングスクール師範科主任講師、及びメディカルシェフ育成講座講師。久司学院レベルIV、昭和薬科大学卒。現在、星薬科大学大学院在籍。「明るく楽しいマクロビオティック」がモットー。著書「マクロビオティック 至福のレシピ」など多数。
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月刊マクロビオティック 2018年11月号(974号)より
 
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