「メディカルシェフ入門」第60回(最終回) ヒジキ

 

ヒジキは海中植物で、ホンダワラ科・ホンダワラ属に分類されます。原産地は不明ですが、日本では縄文時代や弥生時代の遺跡の発掘物からヒジキと思われる海藻が発見されたので、古くから食用になっていたと考えられています。徳川三代将軍家光の時代の料理書「寛永料理物語」( 寛永20年)には、ヒジキを煮たり和え物にしたとの記載があることから、古くから料理に使われていたと考えられます。
 
私たちが目にするヒジキの種類には「芽ヒジキ」と「長ヒジキ」との2つがあります。「芽ヒジキ」は文字の通り、春先に茎から伸びてくる枝葉を採取したもので、細かいので地域によっては「米ヒジキ」と呼ばれたりしています( 柔らかいので和え物やサラダに適しています)。一方、長ヒジキは春先に茎の部分を採取したもので、「茎ヒジキ」「糸ヒジキ」とも呼ばれています。
 
芽ヒジキは若々しい力を含んで全体の先端にあることから長ヒジキに比べると陰の性質を持っていますが、長ヒジキは茎という中心の軸なので芽ヒジキに比べると陽の力を多く含みます。固く締まっているので歯ごたえがあり、煮物に適しています(コトコト煮ると柔らかく食べやすくなります)。
 
ヒジキは通常3〜5月の大潮の干潮時に漁師や海女が磯に出て鎌などで刈り取って収穫しますが、地域によっては11〜翌年2月に幼芽を収穫したものもあります。
 
日本では天然のヒジキを収穫するのが一般的ですが、中国や韓国では養殖が盛んに行われています。現在、国産のヒジキは輸入品に押されて採取量が年々減少し、市場全体の約10%にまで落ち込んでいるといわれています。
 
ヒジキを食用としている国はアジアでも中国、韓国、日本だけです。漢方の処方を考える際の東洋医学的効能では、寒性食品のヒジキはむくみを軽減、痰を除去する作用、体にこもった余分な熱を収めるとあります。つまり、ヒジキからミネラルを多く得ることはできるのですが、消化しにくいため冷え性で下痢しやすい人には不向きといえます。日頃から胃腸が冷えると体調が良くない人は、ほんの少しの量をよく噛んでいただくようにしましょう。
 
また、ヒジキのミネラルは水に溶けやすいといわれており、煮物にする場合は汁が多くならないように、特にヒジキにかからない煮方が理想的です。具体的には次の2通りの煮方が良いでしょう。
 
◎野菜とヒジキを同時に炒め、水をヒタヒタに注ぎ入れて柔らかくなるまで煮てから醬油で味をつけて仕上げる( 普段、私たちが行っている煮方です)。
 
◎野菜を先に炒めたところにヒジキをかぶせ、水を注ぐときはヒジキにかからないようにする。醤油を少々まわし入れ、蓋をして弱火で長時間煮てから醬油を再び回し入れ( 味の調整のため)5~8分そのまま煮て仕上げる。
 
ミネラルが流出しにくいのは後者の煮方ですが、決して時短とはいえないので時間に余裕があるときに試してみてください。ふっくらして、とても食べやすく仕上がります。
 
また、ヒジキに含まれるヒ素の問題の他、最近のヒジキには鉄分が少ないという報告があるようですが、食養では食材を厳選して信頼性のあるものを使うことが原則ですし、ほんの少しずつしかいただきませんので気にしなくてもよいのではないかと、個人的に考えています。
 

 

小林 薫音満/こばやしかおみ(愛称カノン)
 
リマ・クッキングスクール師範科主任講師、及びメディカルシェフ育成講座講師。久司学院レベルIV、昭和薬科大学卒。現在、星薬科大学大学院在籍。「明るく楽しいマクロビオティック」がモットー。著書「マクロビオティック 至福のレシピ」など多数。
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