「My Macrobiotic Life」ドイツのベジーなキッチンから

 

ネット校 ベーシックIIコース修了生 高橋 季里

 
 
ダーリンは菜食主義

 

「今日からビーガンになるよ」
 
ドイツ人の夫と、北ドイツの港町ハンブルクで結婚してから約半年。厳しい寒さにもようやく慣れてきた冬の朝、突然夫が私に宣言してきました。
 
実は、ヨーロッパではビーガンやベジタリアンは珍しくありません。夫も10代の頃からの年季の入ったベジタリアンでしたが、それまでは卵や乳製品は食べていました。しかし、ビーガンとなるともっと厳しいもの。動物愛護の観点から一切の動物由来の食品(肉、魚、卵、乳製品、蜂蜜など)を食べず、動物製品(革など)も使用しない思想を持つ完全菜食主義の人たちのことだったのです。
 
ヨーロッパ在住というただでさえ心細く日本食が恋しい状況に加えて、一緒に暮らす夫がビーガンになるなんて…。
 
「困ったことになったな」と思っていた頃、友人に連れて行ってもらったお店が偶然にもマクロビオティック専門店のビーガンカフェで、ご縁があって翌月にはキッチンヘルパーとして厨房で働かせてもらうことになりました。

 
 
マクロビオティックとの出会い
 
カフェで待っていたのは、心のこもったおいしい日替わりランチプレートでした。味噌汁、玄米、豆料理、旬の野菜料理、海藻料理、手作りの漬物、穀物プリン系のデザート。初めていただいた時は衝撃を受けました。安全なオーガニック食材を使用した数々の料理は色鮮やかで食欲をそそり、やさしい味で胸焼けもせず、おなかも満足。日本でもあんなに柔らかくふっくらと炊き上がった玄米を食べた記憶がありません。また、野菜本来の味がしっかりしていて感動しました。
 
マクロビオティックについてもっと詳しく知りたくなった私は、緊張しながらもつたないドイツ語でお店で働きたいと交渉しました。その勇気と行動力は今でも褒めてあげたいです。
 
面接の結果、週2日アルバイトをさせてもらいながらオーナーや料理担当者( みんなドイツ人!)の作り出す和食のような懐かしい料理の数々をすぐそばで見たり、食べたりしました。
 
そして食事に来る常連のお客さんのことをよく考えながら、臨機応変に楽しそうに作っていることに気が付いた時、「誰かのために料理をするマクロビオティックっていいものだな」と思うようになりました。
 
当時掛け持ちしていた事務系の仕事とは全く違う全身を使う作業で、平日ランチ約50食分を提供する店の厨房で、朝からひたすら山のように盛られた日本では見慣れない野菜を洗ったり切ったりしました。
 
ドイツ語の勉強にもなりましたが、生まれて初めて野菜と真剣に向き合うとても楽しい修行となりました。
 

ハンブルク唯一のマクロビオティック専門店

ハンブルク唯一のマクロビオティック専門店

 
 

わが家の理想の食卓
 
3年ほど店で働きながら、マクロビオティックに関連する書籍を日本から取り寄せて自宅でも実践しました。体調が調ってきたのか、夫婦で風邪をひきにくくなり、栄養面の不安も消えていきました。
 
次の転機は子どもを授かったこと。産休育休をきっかけに仕事はすべて一度リセットし、子育て中心の生活がスタートしました。自分のことを後回しにしているうちに徐々に玄米を炊く機会も減るようになりました。すると体は正直なもので、食生活の偏りとともに体調が崩れてきたのがわかるようになり、もう少し玄米中心の食事に戻したいと思うようになってきた頃にクッキングスクールリマのネット校と出会いました。
 
夫はベジタリアンですが、息子には大人になってから自分で選択してほしいと思っているので、幼稚園では友だちと同じものを食べさせています。3歳になり世界の広がりと共に猛スピードで体が大きくなっている今が大切な時期。子どもには心身とも健やかに育ち、未来を謳歌してもらいたい。母親として妻として、家族揃って楽しく安心して食べられる食卓を守っていきたいの
で、わが家はこれからもマクロビベースのビーガン料理を続けていきます。
 

自宅でおもてなし料理 (ザワークラウトの海苔天、赤ビーツのサラダなどは修行の成果です)

自宅でおもてなし料理
(ザワークラウトの海苔天、赤ビーツのサラダなどは修行の成果です)

 
 

ドイツでマクロビオティックは実践できる?

 

よく聞かれますが、ドイツでもマクロビオティックは実践できます。数多く存在するBIO( オーガニック)マーケットにはマクロビオティックコーナーがあり、質の良い調味料が手に入りますし、全粒粉パスタや穀物製品も豊富に揃っています。
 
一般的にドイツの野菜は日本より安価で、スーパーマーケットにもBIOの生鮮食品コーナーがあり、価格も高過ぎず恵まれた環境です。マルクトという青空市場も毎週定期的に開かれ、移動販売車が野菜、肉、魚、パン、チーズのような地元近郊で採れる新鮮な食材を売りに来ます。活気溢れる雰囲気のもと買い求められるので、特に天気のいい夏場は大賑わいです。
 
ハンブルクの長い冬は暗く寒く、短い夏は午後9時過ぎまで明るく涼しいです。川や湖が多く、大きな公園や背の高い街路樹が多い街は夏には一面緑に包まれとても綺麗です。日本と違い、お店が閉まってしまう日曜はスポーツしたり家族とゆっくり過ごす時間を大切にしています。夏はピクニックで、冬は自宅でマクロビオティックのお料理やケーキでおもてなしをしながら、家族や友人と休日を楽しく過ごせたら最高にハッピーです。
 
これからも小さなキッチンから地球にやさしい暮らしを心掛けて、マクロビオティック仲間も徐々に増やしていけたらと思っています。
 

高架下に1駅分のびる長いマルクト

高架下に1駅分のびる長いマルクト

 

高橋 季里/たかはし きり
 
クッキングスクール リマ ベーシックIIコース修了(ネット校)。大阪府枚方市出身。2010年よりハンブルク在住。ドイツでマクロビオティックを始め、ビーガンの夫と3歳の息子と地球にや
さしい暮らしを目指している。家族の「おいしい!」を聞くのが日々の目標。
blog:ぐりんのキッチンダイアリー
https://blog.goo.ne.jp/greenkitchenhamburg
 

月刊マクロビオティック 2019年8月号(9823号)より
 
マクロビオティックとその料理法に関するホットな情報、健康と美を創り、生命をはぐくむための食と、その知識のご紹介、などなど・・・。あなたの人生を豊かにする情報が毎号満載です。日本CI協会で行っている料理教室や講座などのお知らせもご案内しています。
 
(本体価格600円+税) 発行元:日本CI協会

 

「月刊マクロビオティック」ご購読はこちら