「My Macrobiotic Life」正しい食事をいただくということ


 

マスターコース受講中 金 賢淑

 
 
食事への興味
 
私の母は25年以上、糖尿病や高血圧のほか、関節などの病気でいつも体調が悪く、たくさんの薬を飲んでいました。それらの薬では症状を改善できず、数だけが増えていき、朝・昼・晩の薬と水だけでお腹がいっぱいになりそうなほどでした。
 
大量の薬を飲み続けても症状は悪化する一方…。医師に「薬に加えてインシュリン注射が必要です」とと言われた母は、すごく落ち込んでしまいました。すでに結婚して日本で暮らしていた私は、母を呼び寄せることにしました。薬で治らないなら手探りでもいいから食事療法にチャレンジしたいと思ったのです。
 
図書館や書店でたくさんの本とレシピをみて料理を真似する日々を過ごしました。3ヵ月が経った頃には母の体重は8㎏近く減り、血糖値もかなり下がったので医師からは褒められ、薬の量もかなり減りました。とても大変な3ヵ月でしたが、薬でも調整できなかった症状が食事で改善されていく姿を見て、食べもののすごさと大切さを痛感しました。
 
母の体調管理ができたことをきっかけに、私は今まで以上に食べものに興味を持つようになりました。
 


母と一緒に

 
 
食材との真の出会い
 
それからというもの、色々な食材を買っては試す機会が増えていきました。作っては食べ、自分の体調の変化を観察したのです( カレールウを使ったカレーは消化不良を起こすのですが、ルウを使わないインドカレーはとても消化がいいことなどを発見しました)。
 
雑誌やレシピ集などを参考にした料理づくり。世界がどんどん広がっていくような日々でした。ある雑誌で「You are what you eat( あなたはあなたが食べたものでできている)」という言葉を見たとき、心から「その通りだ」と共感しました。そこで紹介されていたのがマクロビオティックだったのです。韓国出身の私には陰陽の話や身土不二、一物全体といった感覚が身近に感じられ、しっかり勉強してみたいと思いました。
 
 
リマでの発見
 
リマに通うようになってからは、その食材がどこで、どのように作られて、どのように使われてきたのかなどを考える時間が増えました。
 
ある日、玄米の芽を初めて見て「すごくかわいい!」と思いました。ずっとそこにあったはずのものが私には見えていなかったのです。以前は食材の形や色、ツヤなどをじっくり見たことはありませんでしたが、その日からよく観察して状態を見極め、どのように使ったらより良いのかを考えるようになりました。
 
元気な状態のものは食べる人に元気をくれます。人間の持っている生命力を生かしてくれます。それにさらにおいしく、食べた人をさらに楽しくさせてくれることに気づいたのです。
 
私たちの体は生きていて、驚くほどよくできています。正しいものを食べれば、正しく働いてくれます。免疫力はその証だと思います。リマに通い、その働きに力と命を与えるのが食べものなのだとますます思うようになりました。
 
先生方の食材に対する姿勢はとても丁寧で無駄のないものです。このような扱いを受けて人の体の中に入るものが、悪いはずがないと思うくらいでした。先生はいつも色々と質問する私に親切に答えてくださり、私自身が考えて答えを出すべき宿題も出してくれます。

 
 

私の変化
 
子どもの頃の、家族の中での私のあだ名は「顎姫」でした。
 
私が生まれるときに顎から出てきて母子共にとても危ない状態になり、家族は私の命を犠牲にする覚悟で母のお腹の中に私の顎を押し戻したそうです。幸い、母子共に無事でしたが、死にそうな状態だったので出生届もだいぶ経ってから提出したそうです。
 
生まれたての私の顔は顎を中心に半分黒くなっていて、母は自分の子ながら怖くて1ヵ月くらい抱けなかったと言っていました。
 
体も弱く痩せていて、常に風邪をひき、扁桃腺が腫れて鼻炎のためいつも鼻が赤い子でした。その上、神経質で感情の起伏も激しかったので、かわいくない子だったかもしれません。
 
大人になっても感情のコントロールがうまくできなかった私が玄米菜食にしてから一番変わったのは、心がとても穏やかになり、よく寝られるようになったことです。常に平常心でいられて、冷静に物事を考えて行動し、慌てたり焦ったりせず毎日を過ごせるようになったのです。
 
過ごせるようになったのです。今は自分でもビックリするほど人の話をじっくり聞けるようになり、その痛みや怒りに共感して抱きしめてあげられる心の余裕ができた気がします。
 
リマに行くのがとても楽しくて、リマで生き生きしている自分を感じています。食事の大切さを感じている大事な仲間がたくさんいる、とても居心地が良い場所なのです。穏やかな仲間と過ごす時間は、何にも代え難い素晴らしいものです。
 
 
これからの目標
 
韓国の地元の市場ではたくさんのおかずが売られています。私が子どもの頃は、それぞれの家庭で作って食べたものですが、今は作る人の方が少なくなっているため、おかずを買って食べているのです。これらは辛くて甘く、塩分高めでたくさんの砂糖や化学調味料を使っています( 調理済みの冷凍食品も同様です)。
 
外食が多くなり、自宅での食事も冷凍食品という人が多いです。子どもたちは塾から塾へと移動する時間を利用し、ファストフードで食事を済ませています。その影響か、体は大きくなっても体力は低下し、様々なアレルギーや血液のがん、脳腫瘍など、若い人たちにもたくさんの病気が見られます。
 
私たちの体になる大切な食べ物をおろそかにしてはいけません。私はそんな皆さんに食事の大切さを伝えていきたいのです。私たちの大切な食べものについて、今一度見直してもらいたいのです。そのため何ができるか模索する毎日です。

 


韓国の市場にならぶ数々のおかず

 

 

金 賢淑/きむ ひょんすく
 
クッキングスクール リマ マスターコース受講中。埼玉県川口市在住。カトリックのコロンバン会の宣教師としで来日(現在は結婚し脱退)。韓国語の通訳や翻訳、講師歴15年以上。NPO医療支援団体で結核関連の医療通訳を7年間行う。マクロビオティックを実践し始めてから飼い犬の手作りご飯にも関心を持ち、ペット食育士1級の資格を取得。韓国での教師資格(中・高)。日本語能力試験一級取得。趣味は編み物、ヨガ、片付け、パン作り。
 

月刊マクロビオティック 2020年6月号(993号)より
 
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(本体価格600円+税) 発行元:日本CI協会

 

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