「My Macrobiotic Life」一生楽しめる魔法の物差し


 

クッキングスクール リマ 認定インストラクター

鈴木 直子

 
 

これまでの日々への疑問
 

リマとの出会いは9年前の夏でした。それまでの私は仕事を終えて家に帰っても、まずは栄養ドリンクを飲まないと家事ができませんでした。その後慌ただしく食事の支度をし、合間に諸々の家事と子どもの宿題や話に付き合い、食事を終える頃には寝落ちしてしまうこともしばしば。夜中の2時頃起きて、家事の残りや持ち帰った仕事をこなすうち、夜も白みはじめ、またバタバタとした一日が始まる、という具合でした。
 

元来不器用で心配性な私は、一つひとつのことに一生懸命になり過ぎて常に時間に追われ、自分の描く勝手な理想と現実の板挟みでした。
そんな中の父の突然の事故死、自身の入院・手術、妹のがんの発症・闘病・あまりにあっけない死。時間が経つにつれ、それまでの忙しい日々への虚しさや疑問が沸き出てきました。立ち止まって自分の人生を違う方向から見直してみようと考え、仕事を辞めることにしました。私にとっては大きな決断でした。

 
 
自分の直感を信じてリマへ
 
しばらくしてから、今までやってみたくてもできなかったことに挑戦しようと思えるようになりました。そこで、食いしん坊な私は料理教室に通おうと、いくつか見学に行きました。それまでの調理は必要に迫られて本やテレビを参考にする程度の自己流だったので、基本的なことを教えてもらい、美味しい料理を作れたらいいな、身体にも良い食事ならなおさらいいな、と考えたのです。
 
リマの体験レッスンを受講した時のことです。少し早めにお教室に着くと、講師の先生が静かに玄米を洗っており、その食材と向き合っている姿に何故かとても惹かれました。他の料理教室とは何か違う。その時はなぜそう感じるのか分かりませんでしたが、自分の直感に従ってリマに通うことにしたのです。
 
リマは驚きとたくさんの疑問を私にプレゼントしてくれました。まずビックリしたのは、五感を使って料理を作るということです。見て、触って、匂いや音や味の違いの変化を感じながら調理することに新鮮な驚きを感じました。においをクンクン嗅いでその変化を感じ取ることが楽しくて、玄米の炊きあがりや蒸し煮人参の甘く変化する香りに幸せを感じるようになりました。
 
不必要な音を立てずに料理をすることにもはじめは戸惑いました。料理を作ることが時間との勝負のようになっていた私は、お鍋の縁でヘラに付いたものをドン!、包丁で切る時も盛大に音を立てていました。調理中にヘラに付いたものは菜箸を使ってお鍋に落とせば、道具類にも優しく、付いたものもきれいにすぐ取れます。包丁をスライドさせて切れば音もあまりせず、断面の細胞も潰れにくく、切り口が綺麗(玉ねぎを切っても涙が出にくい)です。和食の名人が切ったお刺身の断面の美しさ、あの包丁の動きに近づけます。そして何よりも丁寧にスムーズに調理が進みます。

 

 

自宅近くの鴨川は私の癒しスポットです。

 
 
生活の中の陰陽
 
陰陽について初めて知った頃の私は「なんじゃそれ?」状態でした。先生が「一生楽しめる魔法の物差しを手にしたのよ」と仰っても正直意味が判らずどうしたものかと思っていました。先生は「今すぐにわからなくても大丈夫。自分なりに考えながら進むうちに腑に落ちてきますよ」とも仰いました。今も自分なりに模索しながらですが、少しずつ先生の言葉が実感を伴ってきた感じです。
 
陰陽の考え方が少しずつ理解できるようになってくると、素材の陰陽の違いを考えながら作っていくことの大事さを考えられるようになりました。どれも同じだと思っていた大根や人参にも違いがあり、どこで、どんな気候の時に、どんな風に作られたのかや、食べる人の陰陽の状態も考えて作ることが調理する者の役割であり、美味しさはそんな調和の中にあるのかもしれないと思うようになりました。
お教室に通うのが楽しくて、ついつい早く着いてしまうようになりました。仲良しの友だちができてますます楽しくなり、身体が元気になってエネルギーが湧いてくる感じでした。そんな時、娘に言われたのが「お母さん、なんだか怖い…」の一言。怒ったわけでもないのに、なぜ?
 

きっと私が陽性に傾き過ぎていたのでしょう。陽性になって元気になることが嬉しくて周りのことが見えなくなっていた私をなんとなく近寄りがたく感じていたのだと思います。娘の言葉が、私に気付きのきっかけをくれました。無性にコーヒーが飲みたくなった時は「私、陽性になり過ぎているのでは?」と考えてみる。ちょっと疲れているけれど用事がある時は、梅醤番茶を飲んでみる。そんな些細なことが、毎日の自分の気付きになり、自分で自分をいたわることができる。そんな幸せを陰陽の考え方は私に届けてくれます。

 
 

自分を大切に
 
マクロビオティックに触れることで、考え方がシンプルになりました。以前なら自分の思いに蓋をしてしまうところがありましたが、今は「まずは自分で自分を大事にしよう」と思えるようになりました。新型コロナウイルスが世の中に様々な変化をもたらし、悲しい現実もたくさんあります。でも、だからこそ人と人との繋がりや思いやりの心の大切さを教えてくれています。こんな時こそ桜沢先生の提唱したマクロビオティックが見直される時なのではと思います。
 
美味しいものが食べたいと思って通い始めた料理教室ですが、私にたくさんのご縁を結んでくれました。尊敬する師、一緒に歩んでくれる友だち、そして悩んだ時一歩を踏み出すための物差しや考え方、これからも大切にしていきたいです。

 

 

ある日のご飯(大根と菜の花のスープ、味噌味お豆腐丼)

 

鈴木 直子/すずき なおこ
 
リマではインストラクターの他、アシスタントとして活躍中。エコール辻東京 和食課、寿司学院、カフェスクール、バーテンダースクール卒業の他、日本語教師の資格を持つ。昨年京都に移住し、京都生活を満喫中。趣味は街歩き・山歩き、映画鑑賞、美術館へ行くことなど。人生のモットーは「笑う門には福来る」。
 

月刊マクロビオティック 2021年5月号(1004号)より
 
マクロビオティックとその料理法に関するホットな情報、健康と美を創り、生命をはぐくむための食と、その知識のご紹介、などなど・・・。あなたの人生を豊かにする情報が毎号満載です。日本CI協会で行っている料理教室や講座などのお知らせもご案内しています。
 
(本体価格600円+税) 発行元:日本CI協会

 

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