一物全体って、なあに?
「食べ物は、丸ごと食べるほうがいい」という考え方です。野菜なら、葉や皮、根など全部があって生きています。ですから、全体を食べることで、食べ物の命をそのままいただくのです。魚なら文字通り丸ごと食べられるしらす干しなどの小魚類がおすすめです。
一番わかりやすいのが米。米を丸ごとといっても、籾は食べられませんから、玄米を食べるのがベスト。右図にありように、玄米は栄養バランスが理想的で、蒔けば芽が出て、生命力に溢れてまさに一物全体です。ところが、精米して白米にすると栄養価は激減してしまいます。米や小麦などの穀物なら、「丸ごと」というのは精白していないものと考えてください。
栄養素から見ると、穀物の皮や胚芽、野菜の皮には、他のところには入っていないビタミンやミネラルが含まれています。また、かたい皮や芯の部分は食物繊維が豊富で、腸の健康に役立ちます。
食べ物は全体で栄養バランスがとれており、丸ごと食べることで、食品成分表の数字だけではないパワーを体感できることでしょう。
実際は、どう調理すればいいの?
野菜はよく洗い、皮つきのまま調理するのが基本です。根や葉も捨てずに使い切ります。できれば有機栽培のものがよいのですが、慣行栽培のものなら、流水でよく洗うことをおすすめします。
大根やにんじん、かぶ
大根やにんじん、かぶなどの根菜類は、できるだけ葉つきのものを選び、葉はゆでておひたしやごまあえに。こまかく刻んで水気をしぼり、ごはんにまぜれば、色鮮やかな菜めしができ上がります。
にんじんの葉なら、やわらかい部分は生のまましごきとり、パセリがわりに使えます。使い切れなければさっとゆでて冷凍保存を。
れんこんやごぼう
れんこんはもちろん皮をむかないで調理しますが、かたい節もマクロビオティックでは呼吸器系の手当て法に使用される大事な部分。
捨てないで利用しましょう。すりおろす料理なら、一緒にすりおろします。ごぼうはアクを抜かず、丸ごといただきます。
キャベツ
キャベツならかたい外葉は蒸して保存し、細切りして八宝菜やいためものに。芯は甘いのでスープの具に最適です。
小松菜
小松菜などの根も捨てずに刻み、一緒に調理します。根だけをいためて味をつけ、きんぴらにしてもおいしいもの。ねぎのひげ根は、天ぷらにするとパリパリとした食感が喜ばれます。
だしをとったあとのこんぶやしいたけは佃煮にして、すべていただきます。
このように、一物全体を実行していくと健康になるばかりか、捨てるものがないので、生ゴミはほとんど出ません。皮もむかない分、時間や手間が減る事も大きなメリットです。そうして、物を大切にする感覚が身につき、自然にライフスタイルが変わっていくのを実感できることでしょう。