マクロビオティック クッキングスクールリマ

2023年9月期 修了記念寄稿

アドバンスⅡ 修了 田中 瑞華

蜘蛛の糸

 マクロビオティックを学び始めた直接的なきっかけは、子どもの食を大事にしようと考えたことです。最初はただ子どものために、添加物や薬品の影響のない純粋で良い食材を使おうと、近くの自然食品店を訪問しただけだったのですが、そこで「何をどう調理して食べるかで体調は変えられる」と教えて頂き、それが私には衝撃的で、そこからマクロビオティックを学ぶようになりました。

 それまでは、巷によくある料理の本やマスコミからの受け売り情報を元に、慣行栽培の農作物で食事を作っていました。それも時間がある時のことで、仕事が忙しくなるとそんな余裕はなくなり、独身の時にはストレス発散の為に口を動かし胃を満たしたくて、コンビニ弁当や菓子パン漬けの毎日でした。体調は悪くなるし、精神的にはマイナス思考になっていく、でも表面的には明るく元気に繕うので、どんどん内外の乖離が進んで、いつの間にか毎日の生活が苦しいものになっていきました。

 今よりもっと痩せていた頃は、食べたくもないのに周囲から食べるよう押し付けられて摂食障害になり、10年以上も苦しみました。食べるとは何か、何を食べれば良いか、食べなくてはダメなのか、悩み苦しめられた日々でした。

 そんな滅茶苦茶な食とストレスフルな毎日が続いて体調が悪かった私は、ある時体に良いと聞いて玄米を食べるようになりました。その頃は、炊飯と言えば炊飯器任せで、リマで習うような炊き方はしていなかったので、そんなに美味しいとも思いませんでした。おまけに食べ方が悪かったのですぐお腹が空き、結局追加であれこれ食べてしまい、玄米の魅力は全然身にならず、何が良いかもわからずにいました。

 それでもなぜか玄米を食べるのはやめずにいて、何年も経ってから、リマの体験レッスンで頂いた玄米の美味しさに光を見たのです。目の醒めるような美味しい玄米ご飯でした。

 今思えば、玄米に一縷の望みを見出していたのかも知れません。狂った食生活の果てに食を放棄しかけていた私でしたが、玄米が蜘蛛の糸だと本能的に察知し、手を離さずにいました。体験レッスンで玄米の美味しさが身に染みた私は、そこからリマの受講を決め、どんどん学びを深めていき、今はインストラクターコースも受講しています。マクロビオティックを学ぶうちに、自分の内省と内面の調整にも道理を活かすことができるようになってきて、闇雲に悩んだり右往左往したりすることがなくなり、頭も心もスッキリしてきました。

 子どもが生まれ、その子がアトピーになったことで、改めて食と向き合うきっかけができました。そうして今、リマで学ぶことで、失ったり見えなくなったりしていた色々なものも、改めて身につけていっているように感じます。

 このようなやり直しの機会をくれた子どもに、日々多くの学びを与えてくれる皆様に、見守ってくれる家族に、感謝よりありません。 今後は、情報の波の中で食に彷徨える誰かの助けになるよう、働いていきます。

 付け加えますと、現在4歳になる子どもは、食を変えてからすっかり綺麗な肌になり、人一倍元氣で体は大きく、丈夫です。よく食べ、よく眠り、よく笑います。精神的にもとても強い子です。健康で笑顔でいてくれることが、何よりの宝です。私の手元に来てくれて、本当にありがとう。


<修了記念レシピ>

高きびパン

肉の代用に使われたり、生で粉砕されてから使われたりすることの多い高きびなので、炊いてから、おやつにもなるようなものに変身させたくて、これを考えました。思い付きで作った割に、思わず「美味しい!」と笑顔になった一品です。今ではおやつの定番メニュー入り。無発酵で甘味も入れていませんが、キャロブと穀物の甘味が、ふわっとほろっとする食感と相まって、ついつい止まらぬ美味しさです。ポイントは、終盤で混ぜ過ぎないこと、まとまる程度に粉っぽい生地にすることです。




田中 瑞華

埼玉県在住。現在「地域おこし協力隊」として、秩父郡小鹿野町に子どもを連れて移住している。マクロビオティックをまちおこしに活かすべく、2024年度は毎月講座を開催する。秩父地域でマクロビオティックを身近なものとして浸透させ、それを軸として自然栽培農業や観光業を展開させるべく奮闘中。自らも自然栽培農業を始め、任期終了後には、農家・マクロビオティックインストラクター・玄米パン製造・飲食店・自然食品店・民泊を展開する予定。民泊・飲食店では、マクロビオティック料理の提供をウリにする。趣味は歌とバイクと料理。

Blog Top