2023年5月期 修了記念寄稿
アドバンスⅡ 修了 吉田 清美
マクロビオティックと私
私がリマクッキングスクールに通い始めた直接のきっかけは、動物性食品を使わないお料理を先生から直接習いたいと思ったからです。
もともとお料理が好きだった私は、コロナ禍のステイホーム期間に普段の食事に加え、家族のリクエストに応えてパンやデザートまで作って家族4人で食卓を囲むことで、いつもと違う生活スタイルへのストレスを発散していました。
そんな生活も飽きてきて身体が重いなと感じ始めたころ、ふと思いついて以前から興味のあった遺伝子検査を受けてみました。送られてきた結果を見てみると、どうも私は動物性の脂質の代謝が苦手なようなのです。
そこで私はどうせ家にいるのだからと菜食全般を広く(浅く?)学べる通信講座を受講することにしました。講座の中で和洋中パンやデザートまで様々なレシピを知ることが出来ました。しかしそれらは教科書やDVDを観ながらのものだったので、味はもちろん調理中の茹で加減焼き加減などがいまいち正解かどうか分からなかったのです。知れば知るほど奥深い菜食の学びの中で、紹介されていた「マクロビオティック」に特に興味を引かれスクールに通ってみようと思ったのでした。
通信講座で習った菜食のそのほとんどは海外のいわゆるビーガンレシピが多かったのですが、その中でマクロビオティックは「身土不二」「一物全体」と言う考え方で日本人が昔から自然と共生しながら摂ってきた食事を大切にしている点が最も私が心惹かれたところです。
幼少期に遡ると、私は、遺伝子検査の結果の通り、お肉やお魚が得意ではなく祖母の作るきんぴらごぼうや漬物を好んで食べ、大好物のお蕎麦は必ず2枚食べていました。大正生まれで今年100歳になった祖母は、味噌やたくあん、糠漬けに白菜漬けを裏庭の小屋の大きな樽の中に手作りしていて、小さな畑にはトウモロコシや大葉、唐辛子などがなっていて、遊びに行く度に祖母を手伝って祖母の作る料理を食べるのが私の楽しみでした。今思えば、その土地でその季節に採れたものを自家製の味噌と昔ながらの調味料で調理して食べていた祖母の暮らしはとてもマクロビオティック的で、私の食事に関しての基礎はそこにあるのだと感じています。
また、学校の給食はいつも最後まで残ってやっとのことで食べ終わり、周りの子供に比べて身体も食も細かった私に、母はどうにか肉や魚を食べさせようと苦労していましたが、マクロビオティックの勉強をしている今では、幼少期の食事の好みは好き嫌いなどではなく自分の身体が求めているものを自然と選んで食べていたのだなぁと腑に落ちるものがありました。
大学生の頃には友人に誘われて習い始めたヨガにハマり、特にその思想や哲学の面に強く関心を持ちました。その後、数年の社会人生活を経て結婚し専業主婦になった私は、家にいる時間が長いのをいいことに思想や哲学の本を読み漁り、関心は宗教から宇宙・物理・量子といった科学の分野まで拡がっていきました。マクロビオティックの面白い点であり私にとっての最大の魅力は、単なる料理法ではなく陰陽調和を基本とした理論がきちんと確立されているところです。この世に生まれ様々な経験をしながら大人になり、結婚して母になり子育てに悪戦苦闘する中で、「人生とは何か」「本当の幸せとは何か」という私の中に常にあった問いに対する答えを探して色々な本を読むうちに、どの分野の本も本質的には同じものを違う視点から見ているのだと気づきました。そして、それは桜沢先生の宇宙論に通ずるものでした。
幼少期の祖母との食体験や、大学時代に通ったヨガ教室が実は沖正弘先生の流れを汲んでいたことなど、今まで自分が興味を持ってきた一見ばらばらの出来事が、大袈裟に言えば全て自分をマクロビオティックに導く道標だったのだと思える程に繋がっていたことに運命的なものを感じています。
リマクッキングスクールに通い始めてから、1年と4ヶ月。私の生活はクラスが上がって理解が深まるにつれ徐々に変わってきました。最初の頃は厳格にマクロビ食を作ってみたり、絶対に動物性のものを取らないと決めたりして張り切っていましたが、急に生活スタイルを変えることには無理があり、今では出来る範囲の最大限でマクロビ生活を楽しんでいます。何をどのように食べるかは、自分がどんな人生を送りたいのかということにつながっています。リマクッキングスクールで教えていただいたことはスクールが終わったら終わりというものではなく、これからもずっと実践しながらさらに探求していきたい人生の課題のようなものです。主婦として毎日立つキッチンで、密かに陰陽のことや宇宙のことを考えながら、私の楽しいマクロビオティック生活はまだまだ続いていきます。
最後に、森校長先生をはじめ、講師の先生方、スタッフの皆様には大変お世話になりました。心より感謝申し上げます。
<修了記念レシピ>
ひえクロケット
玄米を受け付けない次女が美味しいと言って好んで食べたレシピで、家族にも人気のレシピです。また雑穀を普段の食卓に気軽に取り入れられることと、このひえクロケットを食べてもらいながら友人にマクロビオティックを紹介すると皆興味を持ってくれることから、このレシピを選びました。
吉田 清美
静岡県伊東市在住。
夫・長女・次女の4人家族。
海と山に囲まれて自然の一部としての自分を感じながら生活しています。